潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
謝ると無言のまま向けられてくる視線。
それを感じながら目尻を拭い、今のは忘れて…と願った。


「酔っ払いの戯言だから。本気にしないでいいから」


飲み過ぎかなぁ…とこぼしつつも、また呷りたくなってくるお酒。
お銚子もう一本飲みたいなぁ…と空になった瓶を振りながら店員さんが来るのを待っていると、さっと取り上げられてしまい、もうそれくらいで…と止められた。


「飲めないのに飲み過ぎですよ」


真面目そうな声で言われ、酔って絡みたくなってる私は、重そうになった瞼を懸命に開けながら相手を睨み、「いいでしょう、別に」と訴え返す。


「越智さんには迷惑かけたりしないから」


酔ってもちゃんと歩いて帰りますよ、と言うが、お銚子は渡して貰えず、ムッときた私は彼の手元にあったビールのジョッキをひっ掴み、「じゃあこれ貰う!」と言うと同時に、ゴクゴクと一気に喉へと流し込んだ。


「あっ!」


しまった…という顔つきの彼を確かめて微笑む。

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