命令恋愛
ゲームの内容よりも、モデルに会えるかどうかが問題だった。


ここまで渾身的に、毎日ゲームに顔を出してあげているのだから、モデルの子だってあたしのことを気にかけているかもしれない。


そんなことあり得ないのだけれど、あたしは本気でそう思っていた。


「そうなんだ? でもまぁ、ゲームの方が安全と言えば安全なんのかなぁ」


香菜美はまだ悩み顔でそう言った。


「安全ってなにが?」


そう聞いてウインナーを口に運ぶ。


「なにがって……優奈、自分が警察に捕まったことも忘れたの?」


「あぁ、あれか。あれはちょっと失敗しただけ」


「失敗って……」


「でも今度は平気だよ、だってゲームだもん」


あたしはそう言い、課金ボタンを押した。
< 36 / 316 >

この作品をシェア

pagetop