俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
屋上に来た奴らは、何を言うこともせずに俺の背中を見つめている。その強い視線は、いつでもお前を拘束できると言っているようだ。

俺はゆっくりと振り向く。そこには俺の予想通りの人間がいた。

俺を薄汚い牢屋に放り込みやがったリーバス・ヴィンヘルムは、俺をまっすぐに見つめている。クリスタルはリーバスの後ろに隠れ、うつむいている。ロビンと……もう一人の警察官は、俺を睨んでいた。

もう一人の警官はともかく、ロビンには色々助言をしてやったのだからそんな目を向けなくてもいいんじゃねえか?

まあいい。俺はずっとこの時を待っていたんだからな。

「ジャック、お前をクリスタル誘拐、監禁、脅迫、等の容疑で逮捕する」

リーバスが口を開いた言った。怒鳴られるかと思っていた俺は、少し驚く。

リーバスがゆっくりと近づいて来た。その目に俺に対する怒りなどは感じられない。

「待て」

俺の言葉に、リーバスは立ち止まる。クリスタルたちは何事かと言いたげな表情だ。
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