きみの理想の相手
食べる間、お互い黙ったまま、ただうどんを啜った。

尊くんの気遣いか、亮介の話をしなかった。

私が食べた後、何気ない会話をして、川の字で5時まで寝た。

起きたあと、ハンガーがかけられていた服を確認すると濡れていた服が乾いたので、着替えて帰る準備をした。

「そろそろ帰るね」

「顔色は昨日より良さそうだけど、大丈夫なのか?」

尊くんは歯を磨いて、うがいをしてから心配そうに私に聞いてくる。

「大丈夫だよ。ほんとありがとね。もう一度ちゃんと考えてみるよ」

「……そうだな。暦なりに考えてみればいいから」
 前髪を上げてから、尊くんは私に言う。

「ほんと急に私に優しくなったよね?どういう心境?」

私は目を丸くして、尊くんを見た。
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