きみの理想の相手

 モテるけど、みんな見るだけで満足していたに違いない。

 だから、本人は気づいていないんだ。
 モテるということに。

「金井さんは、私のこと、どう思ってますか?」

 そう私が言った瞬間、おまたせしました〜こちらチョコミントドリンクと梅ドリンクです。と店員さんは注文していたドリンクを私たちにカタっとテーブルに置いた。

「こちらでよろしいでしょうか?」

「はい」

「では、失礼します」

 店員は客に伝えることは伝えて、去っていた。

 テーブルに頼んだドリンクが置かれたまま、ただ沈黙が続いた。

 金井さんは、ドリンクを見ながら何かを考えていた。

 私は金井さんの姿を見ることしか出来ない。

 だって、私は言いたいこと言えたから。

 もう金井さんの言葉を待つしかない。

 そんなことを考えていると、金井さんが声を発した。

「俺は、まだ大学生だし。色々あると思うけど、理美さんのこと知りたいのは本音です」

 金井さんは真っ直ぐ私に伝えてくれた。

 今日だけで何回私の目を見て、真っ直ぐに伝えてくれただろうか。

 それだけでも、嬉しい。

 私はドリンクをじっと見つめてから、金井さんに言った。

「そう言って下さるだけで嬉しいですよ。ありがとう。さあ、ドリンク飲みましょう」

 私は乾杯ーとグラスを上に上げて、笑顔で金井さんと乾杯をした。

 だけど、嬉しい反面、お世辞で言っているのではないかと不安になった。

 だから、少しテンションを上げないと彼とやっていけない気がした。

「今日はありがとうございます。楽しかったです」

「あの、理美さん」

「はい?」

「……いや、なんでもありません」

 金井さんは、私を見て何かを発しようと口を開いたが、目を見開いたあと、左に顔をそっぽ向けていた。

 どうしたんだろう。
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