きみの理想の相手

 廉は、パクッと口におにぎりを食べた。

 俺は売店で買ったサンドイッチを手に取り、廉に言う。

「ああ。でも、俺も一方的に好きだったんだ。だから、困ってるんだよ」

 髪を右手でぐしゃぐしゃにかいて、俺は一口サンドイッチを口にして、勢いよくコーラーを飲んだ。

 クスッと廉は微笑んでいた。

「なんだよ」

「なんだ。そんなことか」

 廉は仏頂面で俺を見てくる。

「そんなことじゃないだろ。俺にとって、一大事なことなんだよ」

 俺は、前かがみになって、少し大きい声で言った。

「いや、いいんだよ。輝が良ければ。だけど、前みたいな子じゃないよね? 輝、分かってんだろ。また、ああいう子と付き合うと面倒なことに」

 おにぎりを食べ終えたのか、カフェオレをゆっくり飲んでから、俺に正論をぶつけていた。

「……っ、そうだな。分かってるよ。もうあんなことにはならないから」

< 56 / 154 >

この作品をシェア

pagetop