きみの理想の相手
 また、合コンか。
飽きないな、琴美は。

 琴美の積極性を私に負けてほしい。

 琴美は、高校から大学まで一緒で気兼ねなく話せる友人の一人だ。

 彼氏は常にいるが、合コンで知り合うもののすぐ彼氏が出来たら別れてしまう。

 モテるが、長続きはしないのだ。
だから、いつも合コンに行き、頑張っている。

「…うん? 理実ちゃん、どうしたの?」

 店長・実さんは、首を傾げながら不安そうに私に聞いてきた。

 そして、コトッと私の大好きなハヤシライスをテーブルに置いて、去っていた。

「あ、大丈夫ですよ」

 私はニコッと実さんに笑顔で答えた。

 本当は分かっていたんだ。

 私は昔から恋愛不向きな人だって。

 琴美の合コンの誘いのライン通知を見たら、自分の現実を受け止めなくてはならない。

 野村書店のアルバイト店員金井さんに片思いだけではダメなのだ。

 琴美の誘いラインが来て、現実に戻った。

「店長、じゃあいただきます」

 両手を合わせて、いただきますと言って私は右手にスプーンを持ち、ハヤシライスを食べた。
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