刺激を求めていたオレが念願の異世界転生を果たすも、そこはラスボス手前のセーブポイントだった件
魔神王討伐編

なんか違う異世界転生


「……うぁぁぁぁあっ!?」

目もくらむような光が放たれた瞬間。オレは世界が歪む奇妙な感覚を味わいながら、抗うこともできずにその光の深淵に吸い込まれていった。

『転生者よ--武運を祈る』

頭の中から聞こえたその妙な声と共に、オレの意識はプツリと途切れて尻もちをついたような痛みを臀部に感じると、ドサッと音をたてて不格好に着地したようだった。

「--っつ。あいたたた」

尻をさすりながら目を開けると、そこには勇者一行と不思議な淡い碧色の光を放つ女神像の様なオブジェ。

「これってもしや、念願の異世界転生!?来たきたきたぁあ!」 と喜んでいるオレを横目に勇者は意を決した様に、信じられない言葉を発するのだった。

「……よし、魔神王を我らの手で葬り去ろう!!」

「「「うぉぉぉぉおおおっ!!!」」」

勇者が手に掛けた扉は、幾つもの物語で似たようなモノをみたことがあった。ドクロやら、悪魔やら生贄?みたいなのが描かれたそれは、邪悪そのものを体現したかのようで、一目見てそれが普通の扉ではないことが分かった。

そう、これほどにおぞましい装飾の扉ーーまさしく、ラスボスに向かう最後の扉だった。

「…………はぁあ?!?」




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