あかいろのしずく

「え、いや、えっと」


なんて言ったらいいのか。いや、普通に、合わなさすぎて!
口をパクパクさせていると、男性は何を思ったのか笑い出す。


「意外ですか? やっぱり」



意外です、やっぱり。


私がこくこくと頷くと、彼はまた笑った。

細められた目に緩やかな弧を描く桃色の唇。やっぱり、なんだかおどおどしたような優しいような印象が強い。何度も言うけれど、この人が歌う方なんて。


でも、それはそれで気になるな、なんて思っていたら、彼が信じられないことを言った。



「ちなみに音源もあります」



え!?
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