あかいろのしずく
その後また先生が部屋に入ってきたのはすぐのこと。緊張した空気は続いていて、また何か言われるのではないかという恐怖もあった。
が、今度は何も言わず、黙っていくつかのものを置いていった。
今、部屋にあるのは時計と、バケツ、水の入ったペットボトルが人数分。パンやスーパーの弁当など、食料は豊富だった。五人でそれぞれ三食の計算になると、少し不安だったけれど。
「ナナカちゃん、大丈夫?」
サユリさんに声をかけられて、私は視線を落としたまま頷く。
『君たちに、罪はないのに』
昨日の先生の言葉は、全部嘘だったんだろうか。
もうあの時から、私達をこの空間に閉じ込めることだけを考えていたのだとしたら。