ただひたすらに君が好きだ
落ち着いたとは言ったが恐らくまだ頭の中は混乱しているだろう。
俺もしている。


「死んだことは、分かってんだよな」

「……うん」


酷だとは分かっている。しかし、自分の為にも彼女の為にも少しずつ確認していく。


「胸が苦しくなって、そのあと意識無くなっちゃって、起きたら自分の姿が見えた」


珱の瞳から涙がまた零れる。



「顔に白い布がかけられて、お父さんもお母さんも泣いてた。ちっちゃいまーくんは分からなかったかな?」

まーくんというのは珱の弟の真(まこと)。まだ5歳の保育園に行っている子だ。


まだ幼く、きっと理解は出来ていないだろう。葬式中も不思議そうに珱を見ていたのが印象に残っている。



「お前に似ず頭は良い子だからきっとすぐ分かるさ」

「遠回りに私がバカだって言ってるなちくしょう」


不貞腐れたように頬を膨らます彼女の頭を撫でながら謝るといちおう許してもらえたみたいだ。



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