仮想現実の世界から理想の女が現れた時
さて…

ちょっと複雑な気分だけど、暁里のために田中の逃げ道を奪ってやるか。


9時。

俺は出勤したばかりの田中に声を掛ける。

「田中、今日の予定は?」

「午前1件、午後に2件アポがあります。」

「じゃあ、瀬名を同行させてくれ。」

と俺は田中に依頼する。

「え!?」
「は!?」

田中と同時に暁里も驚いた声を上げた。

「瀬名は、来週、デビューさせる。
その前に、いろいろ勉強させたい。
田中、頼んだぞ。」

俺は有無を言わさず、指示を出す。

「………はい。」

田中に選択の余地はなかった。

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