ラブパッション
Urban Night
ズキズキズキズキ――。
目が覚めるより先に、地の底で沸くマグマみたいなジワジワくる痛みを、頭の芯で感じた。


「い、たた……」


無意識に眉間に皺を寄せ、側頭部を手で押さえながら、重い目蓋を持ち上げる。
視界に映ったのは、見慣れない天井だった。


――ここ、どこ?


絶え間ない頭痛が、私の意識をじんわりと蝕んでいて、目に映るものすべてがぼんやりしている。
おかげで、なかなか焦点が合わない。
それでも私は、今、自分が置かれている状況を把握しようとした。


確か昨夜は、高校時代の親友、葉子とキョウちゃんに会って、女子会だった。
私は、つい三週間前、東京本社に転勤の人事発令を受けたばかり。
それを受けてすぐ、高校卒業後、大学進学で上京して、そのまま東京で就職した二人に連絡を取った。


四月。新年度を迎えた今、私は赴任休暇中。
つい昨日、東京に引っ越してきたばかりだ。


狭いワンルームの部屋には、まだほとんど手つかずの段ボールが、山のように積んである。
それなのに、呑気に女子会をしたのは、久しぶりで懐かしい……!と、浮かれたからじゃない。


大学も家から通えるところを選んで進学して、地元にある大手総合商社の地方倉庫に勤務していた私にとって、初めての都会、東京一人暮らし。
寝耳に水で、ワクワク……なんてできない。
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