ラブパッション
背徳の片想い
周防さんからの実務指導が終わったタイミングでよかった。
もちろんこれからも、オフィスで顔を合わせることに変わりはないけど、二人きりになることはないし、仕事以外の会話をする機会もなくなる。


週明けの月曜日から、私は長瀬さんの補佐に就いた。
彼は明るくて楽しい人。
周防さんとはまた違う意味で、テンポよく仕事を進めていく。


長瀬さんの速いペースに巻き込まれ、私はついていくのに精いっぱい。
彼との仕事に慣れるのに必死で、業務中は周防さんのデスクを気にする余裕もない。


長瀬さんは、『新しいアシスタントとして、取引先にも紹介したい』と、商談にも連れていってくれた。
外出で午前と午後を跨ぐと、お昼の休憩も一緒にとった。
そばで過ごす時間が増えて、今までの関わりでは見えなかった面も、おのずと見えてくる。


商談中は、彼の人柄のせいか、いつも笑顔が絶えない。
ちょっと無茶ぶりだと思うことも、嫌みなく強気に押して、最後は相手に苦笑を浮かべさせる。
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