おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~
「メグ、すごいわ!
全部おいしそうね!!

さっそく始めましょう、メグの歓迎会を!」

リンネの挨拶によってお茶会が始まった。メグはあっという間に何人かのメイドたちに囲まれ「今度お菓子の作り方を教えてください」などと頼まれていた。

特に人気だったのはクレープシュゼットというお菓子だった。普通はオレンジを絞ってそれを煮詰めてソース状する必要があり、少し大変なのだがメグの作り方は簡単だった。

フライパンに水を入れ沸騰させ、そこに茶葉を入れる。茶葉を取り出したらオレンジジャムを好みの甘さになるように入れ、後は少しだけ水分を飛ばせばソースの完成だった。

これならばオレンジジャムが溶けたころにクレープを入れ、クレープが温まれば完成という何とも簡単なものであった。

メグ曰く使用する紅茶の茶葉を変えれば様々な風味が味わえるのでおすすめとのことだった。

あまりにもお菓子の減りが早いので、リンネは途中でこのお茶会に参加できなかった使用人たち用のお菓子を別の容器に詰め始めた。

本来ならば全員に参加してもらいたいのだが、それぞれ自分たちの仕事があり、どうしても参加できなかった使用人は半分くらいいた。

その人たちにもメグのお菓子を食べてほしい、そしてこの広い王宮内でそうそう出会うことじゃないかもしれないが新しいメイドが入ったということを知ってほしかったのだ。

取り分けたお菓子は後で使用人たちの休憩室に運ばれることになり、通いの使用人は休憩の合間に、住み込みの使用人は夜ご飯の際のデザートとしてふるまわれることが決まった。

メグの歓迎会を兼ねたお茶会は大成功に終わった。たった数時間の短い時間ではあったが、リンネの気分転換にはちょうどいいものとなった。
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