Legal office(法律事務所)に恋の罠 *番外編~ジェラシーは内密に~
その後、パーティ会場に戻ったファン氏と共に、奏と和奏も来場者に挨拶をして回った。

数時間後、

パーティは好評のうちに幕を閉じ、招待客を見送ったあとは片付けをスタッフに任せて、奏と和奏も会場をあとにした。

「お疲れ様でした。奏さん」

「ああ、和奏もお疲れ様」

Hotel Blooming 東京の奏専用のジュニアスイートルームに

久しぶりに二人きりの時間を過ごす奏と和奏がいた。

和奏のいれたコーヒーを口にしながら、

「さあ、和奏もこっちに座って」

ポンポンと、奏の座るソファの隣に座るよう促す。

言われるがままに腰かける和奏は、昨日までの冷たい雰囲気はない。

「でも、まさか、紫織さんのターゲットが俺ではなくて、和奏だったとは思わなかった。勘違いした俺が馬鹿みたいだな・・・」

「本当は嬉しかったんじゃないですか?」

和奏のからかうように見上げてくる表情に対し、

奏が和奏の額を小突いて

「滅茶苦茶焦ったよ。また俺は和奏に勘違いさせるようなことをやらかしたんじゃないかって・・・」

と言った。

「さっきも言いましたが、紫織さんとは元夫との離婚訴訟で弁護してからのお付き合いです。途中から、彼女が私に対して弁護士以上の感情を持っていることには気付いていました」

奏は、和奏の言葉を遮らずにそっと肩を抱き寄せる。

「私自身は同性愛に関して共感はできないけれど、理解や応援はします、と答えました。彼女もわかってくれて、今の紫織さんにはパートナーがいて幸せなんです」

奏の胸に体を預ける和奏は、ここ最近の態度とはうって変わって素直だ。

「最近、S区でのパートナーとの結婚証明書発行絡みで、また紫織さんとお話する機会が増えたんです。それで、私の奏さんとの交際についても話題に上がって・・・」

和奏はばつの悪そうに、奏を上目使いで見て言った。

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