片想い同盟



なんだ。拓海にも乙女な部分あるんじゃん。



「ねーねー。やっぱり好きな人誰か教えてくれない?」

「……お前、よくこの状況でそれ聞いてくるな」

「この状況だから、でしょ」


いまだに赤みが引ききらない拓海が可愛くて可愛くて、ついからかいたくなってしまう。



いつも優希くんの話をする私をニヤニヤ顔でからかってくる拓海の気持ちが、今ならわかるよ。



「ヒント!ヒントだけでもいいから!」

「ぜってぇ教えない」

「けちー」


何が何でも言う気のないらしい拓海だけれど、好きな人がいるってことはどうやら認めてくれたみたいだ。



こんだけ性悪の拓海が、こんなに純粋に片想いをしてる子がいるだなんて。


私とは違って両思いになるんだろうな、きっと。だって拓海だもん。私にはよくわからないけれど、モテモテの拓海だもん。



誰だかもわからないその片想い相手を想像して、私はこっそり拓海の恋を応援することを決めた。



< 30 / 341 >

この作品をシェア

pagetop