29歳夫の恋,(キケンな夫のロマンス的な嫉妬‼)

未華子、左遷。

部長が慌ただしく入って来て

「関田くん。社長が呼んでいる。
すぐ行きたまえ!」

遂に来たか、社長の事だ末娘に
甘いと噂高い、どうにかして
蒼生の交際相手を探し出すのは
分かっていた。


「失礼します。」

大きな窓が開かれ観葉植物や、
欄の花が入口にかざられている。

中に通されると、社長が出てきた。

秘書に人払いをさせ社長と
2人っきりになった。


「どうだね、仕事は上手く
行ってるかい?」

「はい。中々おもしろいです。
やりがいがあります。」

「そうか..。」







「君、東南アジアの方へ行き
力を発揮してみないか?

有能な人財を探しているんだが、
我社は是非君にと思っている
んだよ。

勿論、それなりのポストは
用意する。」


「えっ‼」


「どうかね?」

「それは..娘さんが関係して
いますか?」



「ん?・・・なんの話だ?
何故娘が関係してると
思うのかね。」

一瞬眉が動いたのを見逃さなかった。
間違いなく左遷だ。


「いえ、失言でした。
暫く考えさせてください。」


「ああ、構わないよ。
返事次第では君の身の振り方を
考える事になるが

了承してくれるね。」

見えない圧力をかけてくる。
噂以上の親バカ‼

娘も娘なら親も親だ。
病気の時も点滴しながら通った
サービス残業も構わず頑張った。

何回もお得意様回りをした。
部下の失敗も寝ずにホローした。

その仕打ちがこれか、こんな会社
の為寝ずに頑張って、御局様か、...



東南アジアか?
ほんっとに行くか?
違う世界が待っている。
しかし、日本食と離れるのには辛い。


塩辛に飯
卵かけご飯
鯖寿司
冬の日本食、

ううう...無理かも知れない。


「自主退職..。
会社の思う壷そうなるのも
悔しすぎる。」



ポツンと会社帰りに、カフェに
寄る。なんか寂しくて、
やはり蒼生に会いたかった。

会ってどうする訳も無く、無性に
会いたかった。

もう直ぐ蒼生もアメリカに帰る
だろう。そろそろ本当の事を話、
彼を開放せねば
そう思いながら大好きなパスタ
ボロネーゼの大盛りを注文する。



窓越しに見慣れたイケメン発見。

未華子は食べていたスパゲティの
フオークを置いて、慌ててスマホ

のボタンを押した。



何人かの若い女の子が走りより
連れ立って歩いていた男の人と
五、六人で、食事にでも行くんだろう
楽しげに歩いて行った。

ガタンと椅子に腰を落とし
携帯の発信を、切る

ヤッパリ若い子と呑んでる方が
たのしいよね。

御局様と食事しても、
つまらないかー



彼はまだ身を固めるべきじゃ
ないのかもしれない。
自由は彼のポリシーかも知れない。

いつも側にいて甘やかしてくれる
彼氏が、未華子の理想だと、
今更きずいた。

だから騙されても好きだ好きだ
会いたいと言ってくれた歴代彼氏に
安心していたのかも知れない。


「いい歳こいて、かまってちゃん。」

そんな、自分が包容力のある
男性を求めながら、蒼生に引かれ
ているのはなんでだろう。

理想はこうでも現実は歳下彼氏に
ひかれている。

しかも彼は自由主義、独占欲を
嫌っている。


暫くして、

「もしもし未華子。さっき
電話した?」

不機嫌な声が聞こえて来た。

「ごめん、迷惑だったかな?
デート中?合コン?」


「いや?同僚と一緒だよ。嫁いる
のにデートや、
合コンなんかするか‼」


「大事な話があるんだけど」

「は、ナシナシ‼

又別れ話か?
謝っただろう。
いい加減帰って来い‼
話はそれから‼。」



「アメリカに帰るのいつ?」

「あと1ヶ月後だけど
着いてくるなんて言うなよ!笑
どうせ、ホームシックに
なるだろ、ハハハ」

「大丈夫、ついて行く意味無いし。」


「今日会える?
遅いの?」

「もう少し飲んで帰るよ。」

「じゃあLINEでいい?」


「私会社から海外に行けって
言われたの?」

「は?何処?」

「東南アジア。」

「蒼生は喜んで送り出しそうね。」


「決定か?」

「うん。社長直々に...」

「今から帰るよ。家で待つてて‼。」

それから、1時間位して蒼生は帰
ってきた。ソファにドカッと
座りネクタイを外しながら、

「いつ、言われたの?」

「今日よ。」
未華子は買って来たビールを出して
蒼生の前に置いた。




「今何処にいるの?
帰らないつもり?なら考えが
あるよ。」



不機嫌な顔をしながら蒼生は
未華子を睨んだ。




「その事だけど..
貴方とは、離婚成立してるの、
もう、他人‼
あなたの元に帰る意味ある?」




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