似非王子と欠陥令嬢
2人がぺちゃくちゃと喋っていると部屋の扉が開く音が聞こえた。
息を飲み込み隙間から室内を覗き込む。
「お嬢様、もうお休みになりますか?」
「いえ、もう少しご本を読んでから寝ます。
マーシャはもう下がって良いですよ。」
「畏まりました。
でももう夜も遅いのですから早めにベッドに入って下さいね?」
「はい。
だいじょーぶです。」
メイド服の初老の女性と幼いキャロルが会話している。
あれが先程言っていた母を躾直そうとしているメイドのマーサなのだろう。
なかなか厳格そうな女性だ。
あの白髪は母親のせいかもしれないと思うと少々居た堪れない。
「すごいね。
ちゃんとキャロルがご令嬢してる。」
「…一応今も貴族の令嬢なんですが。」
「まあそりゃそうだけど。
なんだか仕えられる事に慣れてる感じがしてね。
今はそれが全くないから驚いたよ。」
「…10年仕えてくれる人がいなかったらこうもなりますよ。」
「そりゃそうだよね。
ごめんごめん。」
2人でヒソヒソと話しながら部屋に目をやると幼いキャロルは机に向かって本を読んでいた。
やけに真剣だ。
一体何を読んでいるのだろう。
表紙は見えるがタイトルの文字が遠くて読めない。
キャロルが目を細めて文字を読もうと奮闘していると背中でルシウスの腹筋が小刻みに震えるのが分かった。
笑っているらしい。
「なんですか殿下。」
「ああ、いや。
キャロルは禁術をかけられなくてもキャロルなんだなと思って。」
「はあ…?」
「あの本のタイトルが『完全犯罪マニュアル』なんだよ。
確か時効が成立して逃げ切った犯罪者達の犯行の手口を纏めた本だったはずなんだ。
3歳にして酷い本を読んでるなっておかしくなっちゃって。」
そんな本を読んでいたのか。
そして真剣に読み込んだその知識をいつ使うつもりなのか詳しく教えて欲しい。
「…殿下だってきっと似たような本を読んでますよ。」
「図書館の本を端から適当に読んでたからそれは否定出来ないね。
でも寝る時間を減らしてまであの本を読んだ事はないかな。
本当に幼い頃からキャロルはキャロルだったみたいだね。」
「…それ絶対貶してますよね。」
キャロルがルシウスを睨んでいると部屋の明かりが落とされた。
暗闇と静寂に包まれる。
「…あとは来るまで待つだけだね。」
小さく呟いたルシウスの言葉がまるでカウントダウンの様に頭に響いた気がした。
息を飲み込み隙間から室内を覗き込む。
「お嬢様、もうお休みになりますか?」
「いえ、もう少しご本を読んでから寝ます。
マーシャはもう下がって良いですよ。」
「畏まりました。
でももう夜も遅いのですから早めにベッドに入って下さいね?」
「はい。
だいじょーぶです。」
メイド服の初老の女性と幼いキャロルが会話している。
あれが先程言っていた母を躾直そうとしているメイドのマーサなのだろう。
なかなか厳格そうな女性だ。
あの白髪は母親のせいかもしれないと思うと少々居た堪れない。
「すごいね。
ちゃんとキャロルがご令嬢してる。」
「…一応今も貴族の令嬢なんですが。」
「まあそりゃそうだけど。
なんだか仕えられる事に慣れてる感じがしてね。
今はそれが全くないから驚いたよ。」
「…10年仕えてくれる人がいなかったらこうもなりますよ。」
「そりゃそうだよね。
ごめんごめん。」
2人でヒソヒソと話しながら部屋に目をやると幼いキャロルは机に向かって本を読んでいた。
やけに真剣だ。
一体何を読んでいるのだろう。
表紙は見えるがタイトルの文字が遠くて読めない。
キャロルが目を細めて文字を読もうと奮闘していると背中でルシウスの腹筋が小刻みに震えるのが分かった。
笑っているらしい。
「なんですか殿下。」
「ああ、いや。
キャロルは禁術をかけられなくてもキャロルなんだなと思って。」
「はあ…?」
「あの本のタイトルが『完全犯罪マニュアル』なんだよ。
確か時効が成立して逃げ切った犯罪者達の犯行の手口を纏めた本だったはずなんだ。
3歳にして酷い本を読んでるなっておかしくなっちゃって。」
そんな本を読んでいたのか。
そして真剣に読み込んだその知識をいつ使うつもりなのか詳しく教えて欲しい。
「…殿下だってきっと似たような本を読んでますよ。」
「図書館の本を端から適当に読んでたからそれは否定出来ないね。
でも寝る時間を減らしてまであの本を読んだ事はないかな。
本当に幼い頃からキャロルはキャロルだったみたいだね。」
「…それ絶対貶してますよね。」
キャロルがルシウスを睨んでいると部屋の明かりが落とされた。
暗闇と静寂に包まれる。
「…あとは来るまで待つだけだね。」
小さく呟いたルシウスの言葉がまるでカウントダウンの様に頭に響いた気がした。