チマチョゴリ
『おいネーチャン、オモロい服着てるやないかぃ。ちょぉ見せてみ』
突然、ゴッツいオッサンがスナのチョゴリのチマを触りだした。
『や、やめてください…』
『こんなん着て学校通っとるんか?!いつかこけるんちゃう!ガハハハ!!!』
オッサンはスナのチマを振り回して大笑いしている。
『ちょ、触らんといてください…!』
私はとっさに引き止めた。
『なんやネーチャン。
この子のお友達か?可愛いやないかぃ』
オッサンはスナのチマから手を離して、私の所に向かってきた。
『きゃっ……』
殴られる…
そう思った瞬間、私の前に一人の男の子が現れ、オッサンの拳を引き止めた。
『ちょっと。何してるんですか。やめたってください。』
『え……』
私は唖然した。
『なんやにいちゃん。
手離さんかいゴラぁ』
『嫌です。』
男の子は握った手をギュぅっと握りしめた。
オッサンは目を丸くして叫び散らした。
『痛い痛い痛い!!!!
すまん!!もうやらん!!
もうやらんから離してくれー!』
男の子は手をパッと離した。
オッサンは逃げるように去っていった。
『さようなら』
男の子はオッサンに向かって手を振った。
『あの…ありがとう』
私とスナはお礼を言った。
『うん。いいよ。それより体大丈夫?』
『あ、うん。なんとか…』
『恐かったやろ?』
『ちょっと……』
『よう頑張った。』
《頑張った》
この言葉が心の中で響いた。
スナを守ったとき、やられると思った。
この子がいなかったら………
私は目から涙を流した。
めっちゃ恐かった。
『スンデ?』
『だ、大丈夫?』
男の子は私にハンカチを差し出してくれた。
『俺もう行くな。
もう泣くなよ。
じゃな』
泣きじゃくって、喋れなかった。
もう一回お礼言いたかったのに……
また会えるかなぁ?