お試しから始まる恋

 今日は颯と楓子が来るという事で、俊司は部屋を綺麗にして待っていた。



 掃除をして一息つく俊司。


 ピンポーン。


 チャイムが鳴り、急ぎ足で俊司は玄関に向かった。



 ドアを開けると、颯と楓子が居た。


「2人共いらっしゃい」

 とても優しい笑顔で迎えてくれた俊司。




 リビングのソファーに座り、雑談からはなじっは始まった。


 そして・・・

「颯。私はお前達の結婚に、大賛成だ。何も心配する事はない」

「父さん、有難う。俺のわがまままで、聞いてくれて」

「ああ。人生は一度きりだからな。後悔のないように生きたらいい。お前が一人前になるまで、まだまだ、私も現役で頑張るつもりだ」


 ほっとして、颯は楓子を見た。

 楓子はそっと頷いてくれた。



「ところで、お前達。結婚式はどうするんだ? 」

「うん。子供が産まれてからでもいいかな? って思ているんだ。今は、楓子も悪阻があるから体調も不安定だし」

「そうか。だが写真だけでも写しておくといいだろう。2人きりの時間の時に、記念に写しておくのも良いと思う」

「そうだなぁ」


「事務員さんの家が、フォトスタジオなんだが。そこでお願いしてはどうだ? 」

「それはいいな。まだ、楓子のお腹も目立たないから、着れる衣装も選べるからな」

「そうと決まれば、さっそく頼んでおこう」



 颯と俊司は、トントン拍子で話を進めてしまう。

 こうして見ていると、やっぱり似ている親子だなぁと思える。





 俊司との話しを終えて、颯と楓子は婚姻届けを提出に来た。

 保証人は俊司にお願いした。



 颯は養子になる話をしたが、楓子がお嫁に行きたいと言った為、柳田家に嫁ぐことにした。


 あの広い早杉家は、楓子の父の弟が引き継ぐことになり、父と母と冬子の事は静かな納骨堂に収める事にした。


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