俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
そのかいもあって、食事が終わって店を出ても足取りは一切フラついていない。
「ごちそうさまです、ありがとうございました。どれもすごくおいしかったです」
すべてごちそうしてくれた上崎さんに店を出たところでお礼を言うと、私の顔をじっと見つめられた。さっきまでの恥ずかしそうな様子から変わり、瞳は情熱的でお酒のせいかどこか潤んでいるようにも感じる。
「お礼は結構ですよ。それより、そろそろ次へ行きますか」
なにか決心したように私の手首を取ると、行き先を告げずに歩きだす。スピードが速く、時折足がもつれそうになってしまう。
「あのっ、上崎さん? どこへ行くんですか? 駅は反対方向ですよ」
それに、これ以上先へ進むとホテル街がある。
なんとなく嫌な予感がしてきた。
まさか上崎さんに限って?
「あのっ、上崎さん?」
こちらを見ない上崎さんにもう一度声をかけると、やっと足を止めてくれた。
「……この前、広瀬さんと消えたじゃないですか。あのときも、こんな感じだったんですか?」
「え?」
トーンを落とした声に、嫌な意味で心臓が跳ね上がる。
「派手な外見で、お酒も好きで……飲み会で酔い潰れることもできる。それって、誤解されやすいですよ。いえ、そういうタイプなんですよね」
「そういう、タイプ?」
上崎さんの言いたいことがわからなくて聞きかえすと、フッと嘲笑された。
「誰とでもホテルへ行けるタイプなんですよね、と聞いているんです」
「なっ……!」
薄メイクでも派手に見えてしまう外見で、飲み会のときに歴代彼氏の人数や経験人数を勝手に多めに推測されることはあった。だけど、こんなに軽い女だと思われたのははじめてだ。