俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛


胸の高鳴りに邪魔されて、うまく声が出ずにいると。

「っ! ごめん、電話だ」

私から手をパッと離すと、パンツのポケットに入れていたスマホを取り出した。

「すぐ終わる。ごめんね」

画面を確認してもう一度私に謝ると、口元を手で覆いながら出た。

「はい……わかりました。明後日に変更ですね」

漏れ聞こえてくる内容は会議の日にちが変更になったということで、広瀬さんは落ち着いた様子で話していて、飲み会のときの楽しそうな感じでもなく、さきほどの熱っぽい雰囲気もなく、また違った魅力があった。

「はい、失礼します」

ほどなくして電話を切ると、私に向き直る。

「ごめんね。あーあ、大事な話の途中だったのに間が悪かったな。せっかくキメてたのに」

ちょっとだけ茶化すように言って、ワインをひと口飲んだ。

「いえ。広瀬さんって仕事の話をするとき、少し変わりますよね。ビシッとして見えるので、そういう面をもっと出していけば軽いなんて見られることないのに」

「じゃあ、もっとカッコイイ部分、一番近くで見ていてくれる?」

私の手を握り、身を乗り出すようにして見つめてくる。顔が近づき、広瀬さんの長い睫毛一本一本まで確認できるほどの距離になった。


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