笑顔でいいの?
「よく頑張ったな。」

そう言って、強く強く抱きしめて

ソッと労るように頭を擦ってくれた。

圭ちゃんに出会って…………

私は20年分の涙を流してる。

受けとめてくれるこの胸に。

誰でもいい。

私を理解して!

私の側に居て!

今までずっと、そう思って生きてきた。

聡兄や元カレ達に。

悠人先生にさえそうだった。

そうして………………沢山の人を傷つけてきた。

でも………

今は違う。

もちろん、圭ちゃんの側にずっといたい。

この愛情を感じていたい。

けど………

圭ちゃんの周りの人も大切にしたいって思うようになった。

笹兄や洋ちゃん。

私の周りの人だって…………大切だって思ってる。

…………………誰も不幸にしたくないって。

圭ちゃん…………ありがとう。

自分の居場所があるって……

こんなに穏やかな心が持てるんだね。

あの日、涙を溢す場所が圭ちゃんで良かった。

訪れた喫茶店が

優しいマスターのいる場所で……………。

「……………圭…………ちゃん。………………大好………き………………。」

瞼の落ちる前に聞こえた

「18も年下の子供だと思ってたのにな。
………………………まぁ、成るようになるさ。」って。

18も年下って………

頭の角に引っ掛かった言葉。

でも今は……………

この安らかな腕の心地よさに…………意識を飛ばそう…………。

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