笑顔でいいの?
えっ。

実家に行くの?

どうして?

「お嬢さんを、俺に下さいって言いに。」

ええっ!!

びっくりする私を横目に、楽しそうに笑う圭ちゃん。

冗談だよね??

実家って………………

お父さんやお母さんに、逢うの??

ガタガタ振るえる私の肩をポンと叩いて

「俺が一緒だから大丈夫!
心配ないから。」って………。

圭ちゃんの言葉を信じようと思うのに……

体の震えは、相変わらず続く。

もう一度ポンと頭を叩いてから、路肩に停めて

「本気で無理そうなら、今日は止めるけど…………
咲の心を自由にするには…………避けては通れないからなぁ~
咲。
前とは状況が変わっただろう?
聡兄や咲々ちゃんと話して、以前と違ったし。
俺とだって出逢った。
今なら、大丈夫な気がしないか?」

圭ちゃんの説得は、よく分かる。

聡兄や咲々と再会して…………。

圭ちゃんと笹兄が居て………。

圭ちゃんは…………家族になってもいいって言ってくれてた。

一人じゃない。

もう………

『一人寂しく、ご飯を食べることはない。』って分かってるのに……

やっぱり…………何かが不安。
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