私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
「ん」

「……はい?」

なぜか佑司が少しその高い背を屈めて目を閉じ、私に顔をわざわざ近付けてくる。
これはなにをしろと言っているんですかね?

「ん!」

理解ができなくてぼけっと顔を見ていたら、さっきより少し強めにさらに顔を近付けてきた。
でもやっぱり、私にはわけがわからない。

「……いってらっしゃいのちゅーだろ」

目を開けた佑司はくいっと大きな手で覆うように眼鏡を上げた。

……いってらっしゃいのちゅーって、いまから一緒の会社に行くのに必要ですか。
それにそんな、恥ずかしいこと。

「ほら早く。
遅刻するだろ」

また目を閉じ、顔を近付けてくる。
私としてはしたくないのだが、やらないと永遠これを続けそうで面倒臭い。
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