インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
この人は合コンなんて来なくても普通にモテそうだし、世界中の人と友達なんじゃないかと思うほどのコミュ力の高さだ。

そのおかげで私も少しはこちらから話を振ることもできたし、異性との会話が苦手な私にしてはかなりたくさん話せた気がする。

こういう人とならうまく付き合っていけるのかも知れないなんて、ヲタクの私なんかが思うのはおこがましいけれど、子どもの頃からの男友達やいつものゲーム仲間以外でこんなに話せた男性は初めてだった。

「モモちゃんって面白いね。なんか気が合いそうだなぁ。今度一緒にランチでもどう?」

「えっ?あっ、はい……ぜひ……」

こんなのは社交辞令だろうから、『今度』なんてきっとないと思う。

だから私も精一杯の社交辞令で返事をした。

それなのに何を血迷ったのか、八坂さんはスーツのポケットからスマホを出して、連絡先を交換しようと言い出した。

断る理由なんて特にないし、むしろ私にはもったいないくらいの申し出だと思い素直に応じる。

「営業職だからお昼は出先にいることもあるんだけど、会社にいるときには誘ってもいい?モモちゃんさえいやじゃなければ、仕事の後に飲みに行ったりもしたいな」

「私で良ければ……」

なんだ、この降って湧いたような神展開は?

もしかしたらもしかするかも……!



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