インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
当日は外来診療は休診だけど、入院患者や病院の関係者などが結婚式の様子を見に来るのは構わないかと奥さんに尋ねられ快諾した。

招待したのはほんの数人だし、両家とも親族は少ないから、面識がなくても一人でも多くの人たちが一緒になって祝ってくれたら嬉しいし、光子おばあちゃんもきっと喜んでくれるだろう。

打ち合わせのあと、帰りに二人で駅ビルに寄って夕食を済ませ、バウムクーヘンと一緒に渡すためのメッセージカードを買った。

木曜日の夜は夕食と入浴を済ませてから、それぞれの招待客宛のメッセージカードの準備をした。

いつも会っている友人や両親にかしこまってメッセージを書くのは少し照れくさいけれど、一生懸命考えた文章を日頃の感謝も込めて丁寧に書いた。

メッセージカードの準備を終えて二人で床に入ると、尚史はいつものように大きな体で私を包み込むように抱きしめながら私の頭を優しく撫でた。

「あー……俺、モモと結婚するんだなーって、今めっちゃ実感してる……」

「もう結婚はしてるけど?」

「そうなんだけど……モモが結婚するって言い出してからここまであっという間だったし……婚姻届出したのだって、俺が一人で勝手にしたことじゃん?なんとなく結婚した実感が湧かなくて、毎朝自分の部屋で起きるたびに夢かもって思ってた。一緒に暮らし始めて二人で結婚式の準備し始めてやっと、あー、これマジで現実なんだなぁって思ってさ」

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