インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「どこに行くの?」

「二人が楽しいと思うところならどこでも」

「二人が楽しいと思うところと言えば……」

私たちは少し考えてから顔を見合わせ、同時に口を開く。

「古本!」

まったく同じタイミングで声を合わせて叫んだのが、よりによってマンションの目の前の『リサイクル古本』だったことがあまりにもおかしくて、二人して吹き出してしまった。

二人が同じことを考えているのは嬉しい気もしたけれど、それはデートと呼べるのか?

デートの場所に古本を選ぶところがヲタクな私たちらしいと言えば私たちらしい。

「たしかに古本は楽しいけど……それってデートじゃなくない?」

「古本以外のとこも行けばいいじゃん。ゲーセンとか、コミランとか?」

『コミラン』と言うのは駅前にある漫画専門店『コミックランド』のことで、古本と並ぶ私の行き付けの店だ。

そういえば最近忙しかったので『コミラン』にはしばらく行っていないし、漫画を読んだりゲームをしたりする余裕もなかった。

そうか、何も無理して遠出したり、オシャレなデートをしようとしなくても、私たちなりの楽しみ方をすればいいんだ。

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