雨上がりの恋
「…永…ちゃん」

後ろめたさも手伝ってか、ついボソボソとした声になってしまう。

だけど、両隣の二人にはちゃんと届いたようだ。

頼人の反応も気になって、チラリと盗み見るように表情を伺うと、いつもと違う少し険しい顔がそこにはあった。

だけど、それは本当に一瞬だけで私に名前を呼ばれてこっちを見た彼は、もういつも通りの彼だった。

「…お前、やっぱ趣味悪りぃな。」

「はぁ?どこが?」

開口一番出てきたその言葉に、そう言い返す。

「永ちゃんって、誰?頼人は知ってる人?」

「高校ん時の、俺の担任。」

「なるほど先生か。美優が片思いをしてた相手は。」

ズキっ…

苦渋の決断で仕方がなかったとは言え、嘘を吐いてしまった罪悪感に胸が痛んだ。
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