雨上がりの恋
「俺も喉乾いた…」

いきなり聞こえたその声に、心臓が縮み上がるほど驚いた。

しかもそのせいで、ゴクンッと勢いよく飲み込んだ水が気管に入り盛大にむせる。

「ゴホッゴホッゲホッ…ゲホッ…」

「あーあー、何してんだよ。ったく世話の焼ける奴だな。お前は。」

いつの間にかすぐ後ろにまで来ていた奴が、そう言いながら私の背中を優しくとんとんしてくれる。

言葉とは裏腹なその手はとてもあたたかいけど、彼がいきなり驚かすせいでとんだ苦しい目にあった。

その上、激しく咳込んだことで頭痛が更に酷くなり頭が割れそうなほどガンガンしている。

くるりと振り返って、涙目になった目で頼人を見上げた。
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