未来の約束
「だから安心して、良い夢みろよ。美香みたいな平凡な夢じゃなく、誰もがアッと驚くような、バカみたいな夢を」

「あたし、子供じゃないだけど」

「俺からしたら、お前はいつまでも子供だ。それはそれは、手の掛かる問題児だ」


頭に手を伸ばすと、樋口は人の髪をグシャグシャにする。


「じゃあな」


最後にポンポンッと、優しく頭を撫でられる。

その温もりに、あたしは独りではない気がした。

・・・そっか。

あたしには、頼もしい戦友が居たんだもんね。


「戦友よ。くれぐれも、あたしより先に死ぬなよ」

「あぁ。お前のことを救ってから死ぬよ」


だから、先に死ぬなって・・・

そして、あたしは樋口と別れた。

< 42 / 189 >

この作品をシェア

pagetop