世界No.1の総長と一輪の花






「荷物まとめ終わったよ」



全ての荷物を鞄の中に入れて、ベッドに座る詩優に声をかけた。いよいよこの家ともお別れだ。




「おう。行くか」




くいっと私の手を引いて歩き出す詩優。彼がそばにいてくれるから……この家にいても怖いと思わないんだ。




不思議




階段をおりると、玄関にお母さんと冬樹くんがいた。お母さんは私と詩優の繋がれた手を見ると、優しく微笑んで




「ありがとうね、夜瀬くん」




と言った。




「いえ」




みんなでこの家を出て、詩優のマンションに行った。私が…詩優と暮らすか、お母さんと暮らすか、言わなくちゃいけないのは今日なんだ。




でもでも正直まだ決まってない…




だって……好きな人とは毎日一緒にいたいし。詩優の食生活なんて放っておいたらどうなるかわからない。すごく心配だ……でも詩優とこれからもいるなら生活費くらいはこれから払わないと…





お母さんと一緒に暮らすなら…それも毎日が楽しそうだ。今まで会えなかった分、たくさん話だってしたい。





「じゃあ花、間をとって俺と暮らそうか」





私が悩んでいることがわかったのか、冬樹くんはにこにこしながらそう言ったのだ。





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