W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
案の定、会社では益々の大混乱。
梗月のスーツを着た涼月が面白がってあちこち出没しては社員達を悩ませる。
そんな時、難なく見分けが出来る静香を目撃した武田課長が発端でみんなどちらか社長でどちらが専務なのか見分けてくれと仕事中にも関わらず呼び出され、電話もひっきりなしに来て静香は自分の仕事どころではなくなった。

「もう、いい加減にしてください!私が仕事になりません!」

涼月に文句を言っても面白がって言うことを聞いてくれない。

「いいじゃん、見分けられない方が悪い。」

「そんなこと言ってもしょうがないじゃないですか!」

「みんなもよく人を見るようになっていい勉強だろ?」

「そんなこと言って!だいたい涼月さんは仕事してるんですか?」

「ちゃんとしてるに決まってるじゃん。あの4人が」

本部監査の4名の人達を差してどや顔。涼月の仕事はちゃんとしてるようで4人は何にも言えず困り顔だ。

「梗月さんもなんとか言ってください!」

やいやい言い合って、馴れ馴れしく私の肩を持つ涼月の手をそれとなく戻しながら梗月を見ると、資料に目を通しているまま言った。

「僕はそんなお遊びをしてる暇はないんだ。じゃ」

ムッとした顔で会議室を出ていく梗月さん。

「頼むよ新村さん。せめて見分けるコツを教えてくれ。」

前澤副社長まで困った顔で言ってくる。
コツって言ったって・・・。

「うう~ん。なんでしょう…。梗月さんの今日のスーツはチャコールグレーで、涼月さんはダークグレーです。ネクタイは似てるようなネイビーですが、薄いチェックが梗月さんで、水玉が涼月さん。梗月さんは自分の事を僕と言いますが、涼月さんは俺と言います」

そして目が違いますと言おうと思ったけどそれは分かりずらいだろうし、私の事をくん付けがちゃん付けかの違いもあるけどそれは言わないでおこう…。

フムフムとメモを取る人達。
顔で見分けがつかないから着てる物で見分けるしかない。
明日からはっきり見分けられるようにスーツの色もネクタイも正反対の色にしてもらおう。
心にそう誓って仕事に戻った。

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