W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
「だってほんとだろ?怒ってる顔の静香は世界一可愛いよ」

「も、もお~~」

怒らせてそれが可愛いだなんてどんな趣味してんの?って思うけど、嬉しそうに見つめてくる梗月に怒る気も失せてため息交じりに笑った。


「静香、もう一度、本郷邸に行こう。じい様が待っている…。やっぱりそのまま見逃してはくれなかったよ。」

「う…はい」

食事が終った頃、そう言った梗月は硬い表情で立ち上がった。
静香の手を取り立ち上がらせると、両手をもってぎゅっと握った。

「静香の事は必ず守る。僕を信じて?」

「はい、信じてます梗月さん」

目を合わせにっこりと笑い合った。

ママさんとマスターにお別れを言って、また二人できますと約束してペンションを出発した。

昨日突然泊まることになったから着替えも何も持ち合せてないため、通り道にあるショッピングモールで服を買って行こうということになった。
二人で買い物なんてもちろん初めてで、お互いに似合いそうな服を選んでは試着して「これどお?」なんてやってると普通のデートみたいですごく楽しかった。
この後本郷邸に行って何があるかもわからないけど、ひと時のデートを楽しんだ。
梗月は紺のジャケットに、白いTシャツ、グレーの細身のパンツに着替え、カジュアルだけどジャケットがきちんと感を出していて、すらっと背の高い梗月にとっても似合っていた。
静香は、白いブラウスに、ベージュのミモレ丈スカート、ネイビーのカーディガン。あまり派手すぎないように気を付けた。

そして再びやってきた本郷邸。
昨日躓いた道をゆっくりと歩いて行く。
緊張の中、お手伝いさんに連れられて昨日も訪れた応接間に入ると、既に総裁が座ってて、同じ場所に奈津子、その隣に涼月が座り、反対側に父の春月が座っていた。

皆の注目が集まって、ギクシャクしたまま入り口で頭を下げた。
徐に涼月が立ちあがり、無言ですたすたとこちらに向かって来て、なぜか大きく腕を振りかぶっている。
静香は自分を咎めるためだと思って身構えると、スローモーションのように見えたその様子は、静香の前をすり抜けた。


ガツッ!!

ドスンッ!

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