W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
幸せな時間はあっという間。
すぐに扉は開いてまた肩を貸しながら部屋に入り寝室へと向かった。

「梗月さん、着替えてくださいよ。そのまま寝ちゃったらスーツ皺くちゃになりますよ。水、持ってきますから」

下を向いて黙ったままの梗月をベットに座らせ、水を取りに行こうとしたら手を掴まれた。
振り返ると、真剣な顔で静香を見る梗月に息をのむ。
そのまま引き寄せられてまた抱き締められた。

「梗月さん?」

今日はどうしたというんだろう?
いつもと違う梗月に嬉しく思いながらも戸惑う。
未だ黙ったままの梗月が静香の顎をすくいそのまま頬に手を当てた。

「どこにも行くな…ここにいて…」

熱のこもったうるんだ瞳に金縛りにあったように動けなくなり、そのまま近づいてくる瞳を見つめた。

「静香…」

かすれた声で名前を呼び、唇に温もりが伝わって、キスされたと気づいたとき、「あ…」と声が漏れ、その隙に舌が口内に滑り込んできた。
縦横無尽に口内を暴れまわる舌に翻弄され、執拗に舌を追い求めてくるたび体の芯に電気が走る。
初めて味わう感覚に麻痺して息も絶え絶えに何も考えられなくなってきたころ、抗うことなくベットに倒れこんだ。

ま、まさかこのまま最後まで!?

と、思ったら静香の首筋に顔を埋めたまま、スースーと音がして動きが止まった。

「え、梗月さん?」

のしかかる身体からなんとか這い出し、顔をのぞくと目を瞑っている梗月。
スーッと音がしたのは寝息…。
そう、寝てるのだっ!

な、な、なんなのこれは~~!!

頭が混乱して呆然とする。

少し時間が経って冷静になると見えてくる、なんだかおかしかった梗月。
3日前から元気がなかったことを考えるとやっぱり、来週の監査で来る兄の涼月の事が原因だろうか。

何がそんなに不安なんだろう…。私が少しでも梗月さんの不安を取り除けたらいいのに…。

梗月の乱れた前髪をそっと触り、頬に触れた。



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