身代わり令嬢に終わらない口づけを
 そう思う一方で、なぜかローズは泣きたい気分になった。

「はは、お前、これを食べる気じゃないだろうな」

 からかうように言ったレオンを見れば、さらにその切ないような気分は増してくる。そんな冗談を言えるような仲になったことがくすぐったくて嬉しいほど、同時に胸の中に同じだけの苦しさがつのるのだ。

(こんなに楽しいのに……なんで、私は泣きたいんだろう)

 そのまま考えていたら本当に泣いてしまいそうな気がして、なんとか顔に笑顔を浮かべたままローズは話題を変えた。


「そういえば、レオン様」

「ん? なんだ」

 砕けた感じになったレオンが、笑みを浮かべながら返した。今なら、聞けるかもしれない。

「ハロルド様とは、どなたなのですか?」

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