身代わり令嬢に終わらない口づけを
 そのメイドたちのなすがままに、ローズはおとなしくドレスを着せられた。着せることは慣れているが、着させられることは初めてだ。居心地悪い思いをしていたローズは、ふと思い出す。

(そういえば……)

 ベアトリスももちろん自分で着替えなどしたことがない。だいたいが貴族のドレスなど、一人で着られるようなつくりのものではないのだ。

 けれどここしばらくベアトリスは、何を思ったかリボンを結んでみたり服を脱ごうとしたり、四苦八苦しながらも自らの手でやろうとしていた。

(あれはなんだったんだろう)

 ぼんやりそんなことを考えているうちにローズは、服を着替え髪を結ばれほんのりと化粧を施されていた。
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