ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】

世界的規模の組織に、対抗できる術なんてわからない。
私に何ができるかわからないけど……でも、絶対に道はあるはず。

「今後については、彼と相談してみます。お話がそれだけでしたら、失礼します。これも、必要ありませんので」

張さんの目の前で、小切手をビリビリに裂いてやって。
留飲を下げた私は、軽く頭を下げて席を立った。


「総帥は、ライアン様を諦めませんよ。絶対に」


「……は?」

独り言みたいにさりげない一言。
けれど、それは確かに私の耳に届いた。


「これはまだ噂ですが、おそらく間違いないと思います。総帥は、ご自分の後継者として、ライアン様を育てるつもりでおられる」


「……え……」
こっ後継者?

意味を掴みかねて、その場に立ち尽くす私へ。
張さんはおもむろに視線を合わせた。

「総帥は、68歳の現在まで独身で、ご兄弟はすでに亡くなられています。隠し子の類もおられません。次期総帥の座は、目下のところグループ内部では最大の関心事。そのレースのトップを走っているのが、ライアン様です」

リーズグループの次期総帥、彼が……?
余りにも大きすぎる話に、思わず膝が崩れ落ちそうになった。

< 95 / 343 >

この作品をシェア

pagetop