Baby's Breath
Blue star~幸福な愛~
「もうちょっと明るくなれば?」

そう言われたのは、何も初めてじゃない。

昔から人と会話するのは苦手で、友達なんて作れなかった。


いつも1人でいた。だからいじめなんて日常茶飯事。


慣れた……なんて言いたくないけど、それが正しい表現なんだろう。


そういう子って、自然とアニメとか漫画とかゲームとか……二次元の世界に惹かれるのかな?


私もその一人。


ここには、こんな幸せな世界が広がっているのかって感動を覚えた時もある。


まぁ、つまり、私はオタクというものだ。


だから周りからさらに気持ち悪がられてる。


でもそんなのもういいの。だって私には───────







やった……またランキング上がった……。


ニヤける口元を押さえてスマホを見つめる私。


最近ハマっているスマホゲームで昨日結構勝ち進んだのでランキングが気になっていたのだ。


ゲームの中で友達になった人達は私を『凄い』って褒め称えてくれる。


こういう人達と現実世界で出会いたかった。



「まーたスマホ見てニヤニヤしてる、相原(あいはら)さん」


「ゲームばっかして頭おかしくなってんじゃん?」


クスクス笑いながら中傷してくる人達をチラッとだけ見て小走りでその場を抜け出す。


大人になって会社という組織に入ってからもこうしていじめや中傷を受けることは無くならなかった。


人は常に自分より下を作らなければ生きていけない生き物。


共通の敵を作って仲良くなるしか出来ないのだ。


その共通の敵に任命されるのはいつも私。


言い返せない事は悔しい。


でも、言い返して勝てる自信は全くない。


スマホを握り締めてエレベーターが来るのを待つ。


私と一緒にエレベーターに乗りたがる人は少なくて、皆が隣のエレベーターを待っていた。


……辛いな。


エレベーターが来たことを知らせる音が鳴る。


私が乗っても誰もコッチには来なかった。

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