ラブレター【完】
6:ふりだしに戻る

火曜日。

とにもかくにも、今日明日で『雨だれ』さんの正体を暴かなくてはいけない。

星川先輩なのか、それとも透くんなのか。

昨日の夜、どうしたら正解がわかるのか一生懸命考えたけれど、結局何も思い付かなかった。

ただ寝不足になっただけだ。

「……色は匂へど、散りぬるを……」

ぼんやりと授業を聞いていたら、ふあぁ、と大きな欠伸が出た。

こんな眠い時に古文なんて、見知らぬ異国の言語にしか聞こえない。

気を抜いたら落ちてしまいそうだ。

……いやいや、居眠りしている場合じゃない。

わたしは両手で頬を軽くパンッと叩いた。

わたしには、考えなきゃいけないことがある。

どうやって『雨だれ』さんを断定するか。

なにかいい方法はないだろうか。

……。

とりあえず、もう一度、初めから情報を整理してみよう。

わたしはノートのいちばん後ろのページを開いた。

そして縦に2本線を引いて、ページを3分割した。

左に「条件」真ん中に「先輩」右に「透くん」。

左の「条件」の下に、自分が知っている『雨だれ』さんの情報をどんどん書き出してみる。

毎日会う/ピアノの件/読書好き/青が好き/夏が好き/カレーが好き/犬が好き/足が速い/名前

そして、当てはまるものに○を付けていった。

…………ダメだ。

全く同じ所にしか○が付かない。
< 56 / 90 >

この作品をシェア

pagetop