死に損ないはヒーローのとなり
 ぼくの『精神干渉』の能力、かなり制限かけられちゃうんだな。《因果の特異点》相手だと。催眠状態への導入までは可能なことが分かったけれど、後催眠暗示がきれいさっぱり取れている。
 
 あんなにきつく能力を掛けたのに、と食器を片付けながらため息をつく。でもいい。要は正攻法でじっくり落としていけばいいという話だろうし。
 
 何よりも、褒め言葉を直接心に流し込んでやったときの彼女の蕩けた表情に、ぼくは――興奮していた。ああいう子は甘やかしてあげれば、能力など使わなくともぼくしか見えなくなるだろう。
 
 ぼくは彼女の心をどう絡めとるか、うきうきとした気持ちで思案していた。
 
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