恋愛境界線
「雪花、行くわよ。車回すから、先行ってるわね」

病室の扉を開け、お母さんがそう言って顔を出す。

「わかった」


私はそう返事をする。




「…じゃあ、行きますね」


「ああ、気をつけて」


「連絡…しますね」


「俺も連絡する」


そんなぎこちない会話を交わして、私は病室の扉のほうへ歩いていく。

後ろを振り向くと隼人さんが右手を上げて、笑みを浮かべていた。







これで、いいんだよね?





私は隼人さんに小さく手を振って、病室をあとにした。
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