恋愛境界線

☆☆☆☆☆☆☆☆

「…」

見てはいけないものを見てしまった。


私は制服の彼女が走っていった、反対側の職員室前の廊下に立ち尽くして放心していた。

本郷先生は、亡くなった婚約者を忘れられないものとばかり思っていた。
けど、違っていた。

まさか、生徒のことを好きだったとは。

あの子は、私の関わっているクラスの子ではない。

“1年前”
そんな話をしていた。

本郷先生は去年も2年生の担当だったから、
つまり、3年生の子かしら。


あの子のことを忘れさせないと、本郷先生は私に振り向いてはくれない。

さあ、どうやって振り向かせようか。



< 175 / 230 >

この作品をシェア

pagetop