恋愛境界線
「奏はいつも急だよね。入試本番直前にわざわざ来てくれたの?」

奏はここから電車で2時間の距離のところに住んでいる。
そしてサプライズ好きで、今日みたいに急にこっちにやって来たりする。


駅前のファミレスで私達は、ドリンクバーで飲み物を注いで席に着く。

奏はコーラ、私はオレンジジュース。
昔からいつもそうだった。

変わってないなあ。

「驚かせたくてさ。もちろん、受験生だし電車で勉強してたから大丈夫」

そう言っていたずらっ子のように笑う。

「第一志望、12月の模試でB判定だったんだろ」

「うん。でも油断はできないし」

「医学部が合格圏内って、本当にすげえよ。俺、第1志望C判定でビミョーだしな」

「奏は第一志望、教育大学よね。教育系選ぶなんて思わなかったよ」

「ああ…これは、先生の影響なんだよな」

「先生?」

「うん、本郷先生」

ここでその名前が出てくるとは思わず、飲んでいたオレンジジュースを吹き出しそうになる。
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