恋愛境界線
「初めまして。伊沢奏(いざわかなで)です。雪花の彼氏です」

「え!?そうなの?雪花ちゃん彼氏いたの?」

「あれ、雪花友達に言ってなかったんだ」

奏の言葉づかいにどこか棘を感じる。
もしかして奏、なにか察してる?

「初めまして、藤川時雨です。雪花ちゃんとは同じクラスで隣の席です!ていうかめっちゃイケメンじゃん!そりゃ本郷先生に興味示さないわけだ」

「本郷先生…?」

わーーー!ちょっとしーちゃん!!
お願い、本郷先生の名前出さないで!

「イケメンの私らの担任だよねー!」

「へー…」

奏の視線が怖い。
私に同意求めないでっ!

「私は、担任のことそんなイケメンだとは思わないけどなー…」

「そりゃあこんなイケメンが近くにいたらそりゃそうだよー」

しーちゃんそれ以上話さないでー!
視線を送るが全く気づく様子はない。

「ごめん、藤川さん。雪花をデートに誘いにきたんだけど、連れてっていい?」

「どうぞどうぞ!雪花ちゃんまた連絡するね!ゴールデンウィークどこか遊びに行こうね!じゃあね!」

「う、うん!またね!」


しーちゃんが私たちに背中を向け、奏と二人きりになる。
気不味い空気が流れる。

「じゃあ雪花行こっか。このへん案内してよ」

「う、うん…」

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