恋愛境界線
「いまから来させる作戦成功だな」

奏は私に携帯を手渡す。

「びっくりしたじゃない!いきなりスカートの中に…手入れるんだから」

「悪い。ああしないと、演技であんな声出せないだろ?
聞いたら、さすがにあいつもすっ飛んで来るかなって。
ちょっと強引だったかもしれないけどな」

「本当よ!て、言うか今すぐ来るって…私、心の準備できてないよ」

「今すぐって言ったって、早くて二時間はかかるだろ?」

「でも…」

「大丈夫だって。
なんかあったら俺がぶん殴ってやるって言っただろ?
紅茶でも飲んで待とう。な?」


奏はそう言って笑う。

私はその笑顔を見て思う。



小学生のときは、手のかかる弟みたいだったのに。
気づいたら私の背も追い越して、奏は私よりずっと大人になっていたのね。




「奏は、そうやって守ってくれていたんだね」


「ん?」


奏は不思議そうな顔をして私を見る。


「私、こんな良い男を振ったんだなって」


「気づいた?」


「自分で言うんだ」


そう言って私たちは笑いあう。


それからしばらく、
ベンチに腰かけたまま紅茶を飲んで私たちは昔話をしながら先生を待った。


それから二時間半後、
遠くから車の音がして公園の前で止まった。

車から降りてきた人影は、
私たちの方へと走って向かってきた。
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