恋愛境界線
たしかに僕は、優姫に似ているから雪花に興味を持った。
近づきたい、そばにおいておきたいって思った。

雪花が笑うたび、優姫を思い出した。
はじめの頃は面影を見ていたと思う。

けど、関わっていくうちに雪花は優姫と全然違う人間だってわかった。

素直じゃなくて甘え下手、
それが可愛くてからかったらすぐ頬を膨らませて拗ねる。
”ごめんね”ってキスしたら、
”もう。しょうがないな”って言って許してくれる。


その可愛さに、気づいたらはまっていた。


優姫の写真だって、昔は肌身離さずもって、一人になったら眺めていた。
なのに、気づけば見る時間も減っていて目の前にいる雪花を見ていた。




あの海辺で雪花を抱き締めたとき、彼女は幸せそうに笑った。
その笑顔を見て思った。




ああ。愛しい。

彼女となら前に進める。

僕の止まっていた時間を動かしてくれる。

この笑顔を守らなければ。
絶対に。



だから、こんなところで引いて
誤解されたままじゃだめだ。


日曜に、もう一度伝えよう。
ちゃんと好きだって。

もう一度、やり直したいって。
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