Starlight
田島くんが家まで送ってくれると

心配した私の両親が家の前まで

出てきていた。

「もう、心配したのよ。

美咲ちゃんと光輝くんがあなたの鞄届けに来て。

心配しないでくださいって言ってたけど

全然、帰ってこないし。」

お母さんが少し怒ったように言った。

「すいません。俺が勝手に…」

田島くんが私を庇うようにして前に出る。

謝る田島くんを遮るように

「2人ともお腹空いてるでしょ。

ご飯食べて行きなさい。」

そうお母さんが嬉しそうにいう。

食卓を田島くんと私と両親の4人で囲む。

嬉しそうにしている両親を前に
私たちは気まずさを隠せずにいた。

『絶対、誤解されてる…。』

「田島くん、あいをよろしく頼むよ。」

お父さんが田島くんを見ながら嬉しそうに言った。

「違います。お付き合いしていないです。

…ただの友達です。」

田島くんが少し戸惑いながら言った。

「あら、てっきり2人は付き合ってるんだと思ってた。

小さい頃からあいはずっと

〝まーくん!まーくん!〟って。

将来はまーくんと結婚するんだって言ってたじゃない。」

「え?まーくん?

田島くんは…」


お母さんは少し困った顔をしながら

「あら?思い出したんじゃないの?」

田島くんのフルネームは田島慎。

『田島慎、たじままこと…まことくん

〝まーくん!〟』

遠くから声がする。

まだ小さい男の子の声が。

「あいちゃん。

ぼくたち、いつまでも

ずっと一緒だよね?」

記憶の中の男の子が
目の前の田島くんと重なる。

頭の傷が痛んだ瞬間。

「思い出さなくていいから!

大丈夫だから!」

私の手を握り、田島くんは言った。

必死で、心配そうで、やるせなさそうな顔の

田島くんを見つめる。

『あなたがまーくんなの?』

記憶を探るが混乱して分からなくなる。

目の前のみんなの悲しそうな顔。



…前にもこんなことあったよね?
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