あなたの青 わたしのピンク
思った通り観光客は少なく

荷物は小さな鞄一つの地元の人たちが

二人並んでいた

迷惑をかけない様

様子を見ながら並ぶ

年配の人が一人

もう一人は外国人だった


東京駅を行き交う観光客を横目でみながら

バスを待つ時間を楽しむ

まるで東京の人になったみたいで

こんなにも嬉しいくなるなんて

その気持ちに

自分がどれだけ東京にハルと一緒にいたかったのか

改めて思い知ったのだった

バスが来るまでまだ時間があるせいか

外国人は何処かへいってしまった

そこへ年配の女性と高校生らしい男の子たちが

やってきた

みんな明らかに地元の人達だった

年配の男性が声を掛けてくれて

みんなで一列に並ぶ

そのやりとりがなんだかとてもなつかしかった

東京の人達ってこんなに優しいのかと

驚いてしまった

年配の女性と男性が会話を始める

高校生たちはなんだかどうでもいいような事を

延々と話している

名古屋なら一人で女性が並んでいると

なんだか肩身がせまいのだが

東京は人が多くて当たり前らしい

とても居心地がよかった

それがうれしく

とても悲しかった

本当は上京して暮らすのがとても怖かったのだ

多分

ハルはそれを知っている

きっと両親のことも判っているから

待ってくれている

< 19 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop